演説冒頭で総理は、法の支配に基づく国際秩序が複数の方向から厳しい挑戦を受けており、「冷戦後の安定した時代」は過去のものになったと指摘。地政学的競争の激化の中で、国連が世界の平和と安定の役割を果たせていないとの声があると述べた一方、国際社会が新たな課題を乗り越えるため、今ほど国連が重要な時代はないと強調した。

国際情勢の課題について、総理はホルムズ海峡における自由で安全な航行の困難化、肥料供給停滞による食料危機のリスク拡大、エネルギー安定供給の支障を列挙。これに対し、5月に発表した「進化したFOIP」の下で、各国が「自律性」と「強靱性」を身につけることが不可欠であると述べた。その具体化として、アジアのエネルギー・資源供給力強靱化に向け「パワー・アジア」を立ち上げ、重要鉱物のサプライチェーン強靱化のため「RISEパートナーシップ」を提案していると説明した。世界銀行グループに「RISE+」を創設し2000万ドルを拠出すると明らかにした。

核軍縮と平和構築について、総理は日本が戦後一貫して核軍縮・不拡散に取り組んできたと述べ、「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組を主導することは唯一の戦争被爆国である日本の使命だと強調。また、北朝鮮による拉致問題は「現在進行形の問題」であり、被害者と家族が高齢となる中で一刻も早い解決が必要だと述べた上で、日朝平壌宣言に基づき対話し具体的に行動する用意があると表明した。

国連への日本の貢献について、総理は国連加盟以来、ODA総額6700億ドルを超える支援を実施し、99か国にJICA海外協力隊員6万人規模を派遣してきたと述べた。来年には太平洋・島サミットを横浜で、10月にはアジア太平洋防災閣僚級会議を仙台で開催する予定を明らかにした。2050年のネット・ゼロに向けた「パワーGX」の推進と2027年国際園芸博覧会の横浜開催も発表した。

国連改革について、総理は国連憲章の「旧敵国条項」の早急な削除と安全保障理事会の改革が緊急に必要だと強調。安保理の現在の構図は1945年当時の国際情勢を反映しており、現代の国際社会を真に反映した構造への変革が急務だとし、常任理事国・非常任理事国の双方を拡大して正統性と代表性を確保することが不可欠だと述べた。過半数を超える加盟国がこの双方の拡大を支持していると言及した。